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熊谷聖司『Spring, 2011』
2012.01.25 Wednesday | category:デイレクターレビュー
2011年の春、私は花見をしなかった。いわゆる自粛とかではなく、そういう気分になれなかったのだ。
これは東京に住む多くの人達にとって共通の感情だったと思う。
そして同時に多くの写真家も悩んでいただろう。
例年なら春の喜びに包まれ、咲き乱れる桜に何の迷いも無くレンズを向けていたはず。
今年の桜をどう撮れば良いのか、否、今年は撮らないほうが良いのか…。
震災からちょうど一ヶ月後の4月11日、熊谷聖司はためらいつつもカメラを持って都内の公園に向かう。
その時点ではシャッターを切るかどうか決めていなかったようだ。
公園内の小径なんかを一枚撮ってみる、今度は木の幹を撮ってみる…。
そのうち2011年の春を撮ることが出来るという確信が芽生えてきたのかもしれない。
およそ3日間に及んだ撮影は、風に桜の花びらが舞う、幻想的な風景を撮って終わった。

熊谷聖司が焼いてきたプリントは美しかった。
ただ、どの写真にも薄い膜のような、モヤのようなものがかかっていた。
写真家がこの薄膜に、いつもとは違う特別な春という気持ちを込めたのは明らかだ。
「花見どころでは無かった被災地の人にも見せたいから」
この写真を撮った理由を聞かれ、熊谷聖司はそう答える。
かくしてプリントは美しく、光に満ちあふれ、どこか希望さえ感じさせるのだ。
では薄い膜は何なのだろう…。

あれは展示が始まって一週間後ぐらいだったか、ギャラリーに来てくれた若い女性が、
しばらく作品を眺めた後こう言った。
「なんか、涙をこらえて見ている風景みたいですね。」
そう、私たちは悲しみを胸に抱きつつも、あかるいほうへ歩いていくのだ。
熊谷聖司の想いは確かに伝わっているのだと思った。
(2012年1月25日 柿島貴志)
林田摂子 展『森をさがす』@POETIC SCAPE
2012.01.16 Monday | category:展覧会など
©SETSUKO HAYASHIDAギャラリーPOETIC SCAPEでは2月14日より、林田摂子 展『森をさがす』を開催します。
今まで同シリーズの展示をいくつかの場所で行ってきましたが、今回POETIC SCAPEでは、
同名写真集に未収録の作品を含め再構成し、新たにプリント、額装して展示致します。
ぜひご高覧頂きますようお願い致します。
林田摂子 展『森をさがす』
会期:2012年2月14日(火)〜3月17日(土)
(レセプションパーティ:2月18日(土)17:00-19:00)
イベント:
・アーティストトーク:2012.2.18(土)16:00-17:00
定員20名、参加費無料
申込は以下まで、参加人数をお知らせ下さい。
>メール:front-desk@poetic-scape.com
>電話:03-6479-6927
>林田摂子website
>林田摂子 写真集『森をさがす』(フォッタロットwebstore)
熊谷聖司スライドショー&座談会
2012.01.08 Sunday | category:-
先月12月18日にギャラリーPOETIC SCAPEにて開催した熊谷聖司アーティストトーク。実は参加希望者が多く、募集締め切り後も申込が相次いだのですが、
ギャラリースペースが狭いため、残念ながらお断りせざるを得ませんでした。
そこで急遽イベントの第2弾を開催することになりました。
しかし前回と同じ内容では面白くないので、今回は『Spring, 2011』を
スライドショーでお見せしたいと思います。
そしてスライドショーの終了後は、熊谷聖司を囲んでのカジュアルな座談会を開催します。
作家が一方的に語るのではなく、参加者と作家がより近い距離で話し合う会になればと思います。
皆様の参加をお待ちしております。
*****
『熊谷聖司スライドショー&座談会』
(スライドショー特別演奏:中村修人・加藤学)
日時:2012年1月21日(土)15:00〜16:00
会場:POETIC SCAPE / 目黒区中目黒4-4-10 1F
参加費:500円(座談会時に1ドリンク付)
定員:15名 (1/19追記)***定員に達したため、申込受付を終了いたしました***
2011→2012
2012.01.03 Tuesday | category:日記
皆様、旧年中は大変お世話になりました。今年も宜しくお願い致します。
一年を振り返るこのブログ、本当は大晦日に書きたかったのですが、大分遅れてしまいました。
2011年は(といっても数週間前ですが)POETIC SCAPEというギャラリーをオープンしました。
12月18日には熊谷聖司ギャラリートークの後、レセプションパーティで
本当に大勢の人にギャラリーオープンを祝って頂きました。
本当にありがたい事です。皆さんの気持ちがとても嬉しかったです。
でもそれとは別に、ギャラリーをオープンした事、ギャラリーオーナーになった事自体は
私はそれほど嬉しいとは思っていない事も告白しておきたいと思います。
オープン初日も、年が明けた今もそんなに嬉しくはないんですよね…。
いや、正直もっと達成感とか感動的な感情が湧いてくる事を期待してたのですが、
(それなりに色々大変だったし…)ほとんど無いのですよね…。
『日本中が泣いた感動巨編!』というふれこみの映画を観たのに全く冷静みたいな感じです。
理由は全く簡単な話なんです。
やはり自分にとってギャラリーを開く事は目的や目標ではなく手段にすぎないということです。
そして私は写真家の作品が売れた時が一番嬉しいみたいですね。
熊谷聖司の作品が売れた時、ほんと嬉しかったです。
そしてPOETIC SCAPEの取り扱い作家ではなくても、
自分が額装した、ある作家の作品が売れたと聞いた時も、かなり嬉しかったですね。
写真家が一生懸命製作した作品が、「いいですねー」という褒め言葉だけでなく
ちゃんとお金と交換されて誰かの元へ伝わっていくというのが、本当に好きなんです。
ちょっとカッコ付け過ぎかもしれませんが、正直にそう思うので勘弁してください。
カッコ付けついでにもう一つ。
POETIC SCAPEが存続する限り、東日本大震災の被災者支援をはじめ、
困難な状況にある人々への寄付、支援活動を継続してゆきます。
(もしPOETIC SCAPEが終わってもしますけどね)
3月11日以降、家族が健康で一緒に暮らせるということが
本当にありがたい事だと、心の底から思っています。
そんなありがたい状況にあるうちは、そうでない人達のために何かしたいと思います。
随分長くなってしまいました…
2011年が皆様にとって良い年になりますように。
一年を振り返るこのブログ、本当は大晦日に書きたかったのですが、大分遅れてしまいました。
2011年は(といっても数週間前ですが)POETIC SCAPEというギャラリーをオープンしました。
12月18日には熊谷聖司ギャラリートークの後、レセプションパーティで
本当に大勢の人にギャラリーオープンを祝って頂きました。
本当にありがたい事です。皆さんの気持ちがとても嬉しかったです。
でもそれとは別に、ギャラリーをオープンした事、ギャラリーオーナーになった事自体は
私はそれほど嬉しいとは思っていない事も告白しておきたいと思います。
オープン初日も、年が明けた今もそんなに嬉しくはないんですよね…。
いや、正直もっと達成感とか感動的な感情が湧いてくる事を期待してたのですが、
(それなりに色々大変だったし…)ほとんど無いのですよね…。
『日本中が泣いた感動巨編!』というふれこみの映画を観たのに全く冷静みたいな感じです。
理由は全く簡単な話なんです。
やはり自分にとってギャラリーを開く事は目的や目標ではなく手段にすぎないということです。
そして私は写真家の作品が売れた時が一番嬉しいみたいですね。
熊谷聖司の作品が売れた時、ほんと嬉しかったです。
そしてPOETIC SCAPEの取り扱い作家ではなくても、
自分が額装した、ある作家の作品が売れたと聞いた時も、かなり嬉しかったですね。
写真家が一生懸命製作した作品が、「いいですねー」という褒め言葉だけでなく
ちゃんとお金と交換されて誰かの元へ伝わっていくというのが、本当に好きなんです。
ちょっとカッコ付け過ぎかもしれませんが、正直にそう思うので勘弁してください。
カッコ付けついでにもう一つ。
POETIC SCAPEが存続する限り、東日本大震災の被災者支援をはじめ、
困難な状況にある人々への寄付、支援活動を継続してゆきます。
(もしPOETIC SCAPEが終わってもしますけどね)
3月11日以降、家族が健康で一緒に暮らせるということが
本当にありがたい事だと、心の底から思っています。
そんなありがたい状況にあるうちは、そうでない人達のために何かしたいと思います。
随分長くなってしまいました…
2011年が皆様にとって良い年になりますように。
林田摂子 写真集『森をさがす』
2011.12.24 Saturday | category:店主レビュー

三鷹台にあるオガワカフェの店主に、この写真集『森をさがす』を
初めてみせてもらったときは正直ピンと来なかった。
確かその時は仕事が切羽詰まっていて、写真集も急いでページをペラペラめくって観たと思う。
その後しばらくして、あらためて写真集とその作家、林田摂子さんを紹介してもらった。
今度は仕事も落ち着き、心も落ち着き、ソファに腰を落ち着かせてゆっくりページをめくった。
すると写真一枚一枚が、すーっと心に入ってきた。
いや、自分が写真にすーっと吸い込まれたという感じか。
どうやら観る前に環境を整えなければいけないタイプの写真である。
工事現場の真横では、フルートの音色を聴き分けられまい。
『森をさがす』というタイトルこそ、なにか意味深げで魅力的なものだが、
写真は乱暴に言えばきわめて地味である。
フィンランドで撮影されたものが多いが、いわゆるステキな北欧ライフの面影は全くない。
ダウナーな光景、風景が続く。が、そのうち不思議な感覚に包まれる。
森というより海に潜ってエラ呼吸しているような…
森とはなにか?森をさがすとは?
林田さんに聞いても明確な答えは帰って来ない。
というか答えなんてあるのだろうか?
ただ、私たちは誰もが、森をさがすことを始めなければならない気がする。
*************
林田摂子 写真集『森をさがす』
フォッタロットwebstoreで購入
ページ:96ページ(52作品)
サイズ(cm):縦21.2×横31.7×厚1.8
製本:ハードカバー
言語:英・日
発行:ROCKET BOOKS
林田摂子website

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